顔のアザ

顔のアザ

はじめに

顔のアザと聞いて、皆さんはどのようなものを思い浮かべますか?定義はいくつか存在しますが、ここでは「小さいころから認める、顔の皮膚の一部が周りと違う色に見えるもの」とし、その原因について解説していきたいと思います。なお、周りと違う色に見えるだけでなく、盛り上がっている場合については、顔面の腫瘍・血管腫・脈管奇形のページもご参照ください。

色素性母斑

「ホクロ」と呼ばれるもので、黒色や茶色であることが多いアザです。母斑細胞が皮膚の中でメラニン色素を作ることで色がつきます。生まれたときから認めることもありますし、生まれてしばらくしてから認めるようになることもあります。生まれつき全身に広く認める「巨大色素性母斑」を除き、悪性化することはほとんどありません。見た目や悪性化が気になる場合、切り取る手術などが行われます。

色素性母斑

扁平母斑

ミルクコーヒーのような色のアザで、皮膚の浅いところにメラニン色素が増えることで色がつきます。平坦で、盛り上がることがないため、「扁平」と表現されています。多くは生まれたときから認めますが、思春期に認めるようになることもあります。悪性化することはまずありません。見た目が気になる場合、レーザー治療を試みられることが多いです。

扁平母斑

太田母斑

目の周りなどに生じる青色のアザで、色素細胞(メラノサイト)が皮膚の深いところに集まって色がつきます。思春期以降の女性に生じることが多いです。自然に消えることはまずありません。見た目が気になる場合、レーザー治療が行われます。

太田母斑

脂腺母斑

頭などに生じる黄色のアザで、でこぼこしています。脂腺の過誤腫(局所的な奇形または過形成)と言われています。多くは生まれたときから認めます。成長とともに大きくなったり盛り上がったりし、さらには腫瘤が生じることがあります。腫瘤が生じる可能性をなくすことと、見た目を改善する目的で、切り取る手術を行われることがあります。

表皮母斑

茶色のアザで、でこぼこしています。表皮の過誤腫(局所的な奇形または過形成)と言われています。生まれたときから認めることもありますし、生まれてしばらくしてから認めるようになることもあります。成長とともに大きくなりますが、脂腺母斑のように腫瘤が生じることはほとんどありません。見た目が気になる場合、切り取る手術などが行われます。

神経線維腫症(フォンレックリングハウゼン病)

カフェオレ斑と呼ばれる茶色のアザと、神経線維腫と呼ばれるできものが身体のあちこちに生じる病気です。また、眼や骨、神経などに症状が出ることもあります。カフェオレ斑は、生まれたときから認めることもありますし、生まれてしばらくしてから認めるようになることもあります。カフェオレ斑の見た目が気になる場合、レーザー治療などが行われます。神経線維腫はまれに悪性化することがあり、切り取る手術が行われます。顔や頭に変形が生じることがあり、必要に応じて大がかりな手術が行われます。

乳児血管腫(苺状血管腫)

血管の良性腫瘍のひとつで、生後1~4週に赤色のアザとして認めるようになり、その後、急速に盛り上がっていくことがあります。盛り上がりは1年以内におさまり始め、数年かけてかなり改善することが多いです。同様に、赤みもかなりひいてしまうことが多いです。盛り上がりがかなり大きくなってしまったり、盛り上がる過程で潰瘍が生じてしまったりすることがあり、おさまった後の見た目が悪くなることがあります。これを予防する目的で、レーザー治療や内服治療を試みられることがあります。また、数年たっても赤みがひききらなかったり、見た目がよくなかったりする場合、レーザー治療や手術を行われることがあります。

乳児血管腫

毛細血管奇形(単純性血管腫)

赤色のアザで、毛細血管が異常にたくさん存在していることで赤く見えます。生まれたときから認め、長らく平坦なままですが、ゆっくりと盛り上がっていったり、色が濃くなっていったりすることがあります。見た目が気になる場合、レーザー治療や手術が行われます。顔に広く毛細血管奇形を認める場合、眼や脳の病気を合併するスタージ・ウェーバー症候群であることがあり、CTやMRIなどによって診断されます。

毛細血管奇形
余談

「小さいころから認める」という定義から外れますが、ほかにアザと聞いてよく思い浮かべるであろうものに「皮下出血」があります。皮下出血は、強くぶつけるなどして皮膚の下に出血が生じ、皮膚が赤色や紫色になるものです。時間が経つと広がったり、移動したり、黄土色になったり、黄色になったりすることがあります。やがて消えていくため、治療は特に必要ありません。血液が固まりにくくなる病気であったり、血液を固まりにくくする薬を飲んでいたり、加齢で皮膚や血管が弱くなったりしている場合、強くぶつけていないにもかかわらず生じてしまうことがあります。

著者

城陽江尻病院形成外科
部長 江尻 浩隆