顔の輪郭形成りんかくけいせい

顔の輪郭形成りんかくけいせい

輪郭形成術とは

顔面の骨は、頭蓋骨、上顎骨、頬骨、下顎骨、鼻骨などから成りますが、それらの骨の長さ、大きさ、位置関係の違いによって、顔のバランスは変わり、様々な顔の輪郭として現れます。それは生まれつきのこともあれば、何らかの後天的な要因によって、変わることもあります。輪郭を変えて整え、より良い形態に修正していくのが顔面の輪郭形成術ですが、輪郭の問題でも、咬み合わせの問題が関係している場合も多くあります。咬み合わせの問題が関係している輪郭の問題として、代表的なものは、受け口、いわゆる下顎前突症がありますが、これらは顎変形症に分類される疾患として、保険適用の治療となります。

従いまして、輪郭の問題を、単なる見た目だけの問題ととらえずに、レントゲン、CT画像検査で分析の上、その原因を咬み合わせも考慮したうえで、どこにあるのかを診断する必要があります。診断は、頭蓋顎顔面外科の手術に精通した医師によって、患者さん本人の訴えや希望をふまえた上、顔貌の視診、規格レントゲン写真(セファログラム)、CTなどを通して行われます。場合により、歯科矯正専門医にも診察していただき、総合的な診断を要する場合もあります。

治療方法

1.咬み合わせの移動を伴わない輪郭形成術

治療対象は、頬骨、下顎骨、前額部・眉骨です。
頬骨形成術:頬骨は、張り出しや左右差に対して、口腔内と耳前部小切開から、頬骨骨切りを行いプレート固定(頬骨形成術)します。
下顎骨形成術、おとがい形成術:下顎骨は、全体的な大きさ、目立つ下顎角(えら)、後退した顎先(おとがい)に対して口腔内切開から、余分な部分の骨切除・骨削りを行います。おとがい形成の場合は、短縮や前進させてプレート固定します。よく言われる、Vライン形成術といわれるのは、下顎骨形成術の一つです。
また、輪郭3点形成術と言われるのは、顔面の輪郭を決定する頬骨形成術と下顎骨形成術を組み合わせた方法です。
前額部・眉骨形成術:前額部・眉骨は、髪の毛の中を切開する冠状切開から、前額部の突出部分を削ったり、後退させたりして形を整えます。場合により、人工骨を用いて後退や凹んでいる部分を形成します。

2.咬み合わせの移動を伴う輪郭形成術

咬み合わせの問題を伴う場合、歯科矯正治療を併用して咬み合わせを変えながら行う輪郭形成手術が必要となり、正常な咬み合わせの獲得も同時に治療プランに入れる必要があります。多くの場合、顎変形症と言われる状態が治療対象となります。

顎変形の程度が大きく、歯科矯正治療のみならず手術で咬み合わせの土台である上顎骨や下顎骨を移動する外科矯正手術も必要になる場合は、歯科矯正治療と外科矯正手術(外来と入院治療を含む全体)に対し、健康保険が適用されます。これには、歯科矯正医の診断も合わせて総合的な診断に基づき、健康保険適用されるかどうかの判断がなされます。健康保険適用の治療対象となる顎変形症には、

  • 上顎前突症(出っ歯、ガミースマイル)
  • 下顎前突症(受け口、しゃくれ)
  • 上下顎前突症(上下の口もとが突出している)
  • 開咬症(上下の前歯同士が咬み合わず隙間ができている)
  • 顔面非対称(上下顎非対称・下顎非対称)
  • 下顎後退症(小顎症、睡眠時無呼吸症を伴う場合もある)があります。

また、生まれつきの病気(口唇口蓋裂、第一第二鰓弓症候群、クルーゾン症候群など)の思春期以降に残った顔面変形など、これら以外にも非常に多くの咬み合わせが関係する顔面変形の治療に対して、健康保険を使った外科矯正治療を行うことができます。

一方、咬み合わせが安定している場合でも、主に治療目的が中顔面短縮、小顔化、ガミースマイル、口元の突出感、下顎の前突感などの審美的な場合、女性顔手術の場合は、健康保険適用されない美容外科治療になります。

外科矯正手術は、上顎骨のルフォーI型骨切り移動術、分節骨切り術(セットバック)、下顎骨の矢状分割骨切り術、分節骨切り術(セットバック)などを、歯科矯正医と連携の上、組みあわせて行われます。
手術は、全身麻酔下で行われます。入院が必要となる場合の入院期間は、1週間程度となります。

いずれにせよ、顔面の輪郭のバランスが悪い原因が骨格にあるのか、骨格以外の軟部組織にあるのか、双方にあるのかを総合的に分析して、患者さん一人一人に合った最適な手術治療を選択することが大切です。近年、海外でこのような輪郭手術のみを受けられてきて、術後に歯科矯正治療もないため咬み合わせがずれたり、骨がずれたりなどのトラブルが増えております。また、言葉が通じない外科医とのコミュニケーション不足やデザインイメージの相違が原因と考えられる、「骨が削られすぎてしまった」などのトラブルの相談も増えております。顔面骨は、顔の土台として非常に重要ですので、しっかりとコミュニケーションのとれる経験と知識が豊富な当学会所属の頭蓋顎顔面外科医のもとでの治療をお勧めいたします。

下顎角部のエラ張り

著者

東京警察病院 形成外科・美容外科
主任医長 渡辺 頼勝

東京警察病院 形成外科・美容外科

著者

千葉大学大学院医学研究院形成外科学
教授 三川 信之

千葉大学 形成外科