頭頸部とうけいぶの再建

頭頸部とうけいぶの再建

病気の説明

頭頸部とは頭、顔、頸部全体を示す言葉で、この部分では多くの重要な臓器が複雑に配置されています。それらの臓器が手術などで切除された場合には可能な限り機能を保つために再建術が必要になることが多くあります。頭頸部の再建術が必要になる疾患は頭頸部がん、上下顎骨の骨髄炎、口腔咽頭皮膚ろうなどです。

頭頸部がんとは鼻、口、のど、上あご、下あご、耳などの部分にできるがんのことを指し、具体的には舌がん、咽頭がん、頸部食道がん、耳下腺がんなどがあります。これらのがんの治療には手術、放射線治療、化学療法があり、病期などにより適切なものが選択され、組み合わせて行われます。手術ではがんがある部分を含めて大きく切除するため、再建手術が必要となります。

顎骨(あご)の骨髄炎は骨の中の感染が続いてしまう状態で、放射線治療の副作用によるものが多いですが、薬物治療の副作用で起こることもあります。多くは感染した骨の除去が必要になります。骨を除去した後に骨の再建手術が必要となります。

口腔咽頭皮膚ろうは、口やのどと皮膚の間に穴ができてしまった状態です。手術後の合併症として起こることが多く、穴から唾液や食べ物が漏れるため生活に支障が出てしまいます。穴を塞ぐための再建手術が必要となります。

これら以外にも顔や口の中、頸部などに組織の欠損があり問題となる場合は再建手術が必要になります。

再建の方法

頭頸部手術は形成外科医を中心とした再建外科医が担当し、欠損した部分を再建(作り直す・補うこと)します。再建手術は部位や目的に応じて色々なものがあります。代表的な手術をいくつか以下に挙げます。

舌がんの再建手術

舌がんで舌を切除した場合、食べる機能、しゃべる機能が障害されてしまいます。なるべく機能を損なわないように太ももやお腹などから組織を移植して舌の形を再現します。手術後の適切なリハビリを経ることで、ある程度の機能を再獲得することが可能です。

舌がん切除後の再建
下咽頭がんの再建手術

下咽頭(のどの下の方)のがんでは下咽頭・頸部食道(食べ物の通り道)および喉頭(声を出すところ、空気の通り道)が手術により切除されることが多くあります。空気の通り道は気管孔という穴を首に開けておくことで維持しますが、食べ物の通り道はのどと食道をバイパスする必要があります。そのために腹部から小腸を移植することが多く、これにより食べた物を胃まで運ぶことができるようになります。

下咽頭がん切除後の再建
下歯肉がんの再建手術

下歯肉(はぐき)のがんでは顎骨(あごの骨)が部分的に切除されることが多くあります。この場合、咬み合わせを維持し、食べる機能を維持するために骨や金属プレートを移植してあごの骨の連続性を保つ再建手術を行います。骨は下腿(すね)や肩甲骨が使用されることが多いです。

下歯肉がん切除後の再建

このように、頭頸部再建手術では必要な組織を、体の他の場所から持ってきて移植する手術が多く行われています。この時大きな組織を移植するために、組織を栄養する血管を一緒に移植し、その血管を移植先の血管とつなぎ合わせることによって生きた組織として移植する「遊離皮弁移植」という手術が多く行われています。血管をつなぐ作業は非常に細かいため、手術用の顕微鏡を用いて行います。移植された組織がうまく定着することによって、欠損が埋められ、機能が可能な限り維持されることを目指して手術を行います。

著者

愛知県がんセンター形成外科
部長 髙成 啓介

愛知県がんセンター 形成外科