鼻の変形

鼻の変形

病気の説明

鼻は顔の中央に存在し、最も突出した部分です。目立つ部分であり、鼻の形態で顔の印象が大きく変わることもあります。鼻の変形はその形によって、鞍鼻(低い鼻)、斜鼻(曲がった鼻)、広鼻(幅広い鼻)、ハンプ(鷲鼻)といった呼び方がされ(図1)、整容的な問題で治療の対象となります。また、鼻の腔が狭くなる変形では、空気の通りが悪くなることもあり、形態のみならず機能にも影響を及ぼすことがあります。

図1

病因

鼻の骨の変形や軟骨の変形、加えて鼻中隔(鼻の腔を左右に分け隔てている壁)の歪みも鼻の変形の原因となります。これらの変形は、生まれつきのこともあれば、病気や骨折などが原因で生じる場合もあります。

診断

患者さんの訴える変形の原因がどこにあるのか、鼻の視診や触診、レントゲンCT検査によって調べます。また、鼻の腔内を観察し、鼻中隔の歪みや鼻の中のヒダ(下鼻甲介)の状態を確かめます。これらの形態に問題があり鼻の空気の通りが悪くなっている場合は、耳鼻咽喉科の先生に治療を依頼することがあります。

治療

美容・整容的な要素の強い治療となるため、診断や治療の方針は患者さんと十分に話し合い、慎重に決定する必要があります。手術治療では、鼻の骨を切って形を矯正したり、鼻の軟骨の形を修正したり、鼻中隔の歪みを治すことで変形を修正します。また、必要に応じて患者さんの腸骨(腰の骨)や、胸にある肋軟骨を移植することで鼻の形態を形成する場合があります(図2)。また、シリコンのインプラントを用いた手術や、軽微な変形に対してはヒアルロン酸などの注射により治療することもあります。 しかし、鼻の形を思いどおりに変えることは容易ではありません。治療を受ける前にそのことを御理解いただき、専門医の先生とよくご相談して治療をお受けください。

図2

整容的な意味合いの強い治療や、シリコンインプラント、ヒアルロン酸などの保険適用外の治療に関しては自費診療となります。

著者

大阪医科薬科大学形成外科
准教授 塗 隆志

著者

東北大学大学院医学系研究科外科
病態学講座形成外科学分野
教授 今井 啓道

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