耳下腺腫瘍じかせんしゅよう

耳下腺腫瘍じかせんしゅよう

病気の説明

耳下腺とは耳の前下方にある唾液腺(唾液をつくる臓器)の一つです。耳下腺内を顔面神経が貫いており、この層で浅葉と深葉に分けて呼びます(図1)。耳下腺腫瘍と呼ばれるのは、耳下腺に生じる腫瘍のこと(図2)ですが、多種多様なものが含まれます。
大きく良性腫瘍と悪性腫瘍に分類され、8~9割程度が良性腫瘍とされています。良性のものとしては多形腺腫が最多であり、ワルチン腫瘍(腺リンパ腫)が続きます。その他にも血管腫、脂肪腫、唾液貯留嚢胞、唾石、耳下腺内リンパ節の腫脹などがあります。悪性のものでは耳下腺原発の扁平上皮癌、腺様嚢胞癌、多形腺腫由来癌、および耳下腺内リンパ節への転移性腫瘍などがあります。悪性のものは痛みや顔面神経麻痺を伴うことがあります。
耳下腺内には顔面神経が走行するため、切除の際には顔面神経の扱いが重要となり、術前の診断が重要となります。

図1
図2

診断

診断のためには超音波、CT、MRI(図2)、唾液腺造影、などの画像検査を単独あるいは組み合わせて行います。穿刺吸引細胞診が行われることもあります。良性腫瘍では組織型の診断が可能であることが多いですが、悪性腫瘍の場合、組織型診断が困難なことが多いです。最終的な組織型は手術で採取した腫瘍の病理検査にて決定されます。

治療

治療は摘出が基本です。良性腫瘍の場合、核出術(腫瘍だけをくりぬく方法)が行われることもありますが、良性腫瘍の中で最も多い多型腺腫は、きちんと切除しないと再発することがあり、周囲腺組織を含めて切除する(耳下腺部分切除、浅葉切除、深葉切除)必要があります。
耳下腺内には顔面神経が走行しており、良性腫瘍の場合温存が必須です。顔面神経は細く、繊細なため、温存した場合でも顔面神経の麻痺が生じることがあります。多くの場合、麻痺は徐々に回復します。
悪性腫瘍の場合、顔面神経を温存できない場合が多く、その場合、不可逆性の顔面神経麻痺となります。顔面神経の再建、時期については主治医とご相談ください。

著者

獨協医科大学形成外科学
講師 梅川 浩平

兵庫医科大学 形成外科
教授 西本 聡

兵庫医科大学病院 形成外科